祝辞

神戸大学名誉教授

河野 通雄

放射線部40周年を祝う 放射線部の変遷と進化

放射線部40周年誠におめでとうございます。
丁度20年前に放射線部20周年のご挨拶を述べさせていただいたが、ふた世代経過した今日でも放射線部のあり方については、当時申し上げたことと基本的には大差がないように思う。
外来患者さんの診察から入院患者さんの管理まで他科同様、独立した診療科としての放射線科と、教育、研究も併せて行う放射線医学講座が合体した形で確立していた神戸大学は国内はもとより外国でも数少ない珍しい体制であった。

 米国にしばらく滞在した折に、その大学のスタッフに、我々の放射線科では患者管理や外来診療で投薬をしていることを話したら、目を丸くしていた。
 その後、当時の文部省の方針で放射線部が国立大学で創設され、毎年部門会議が開かれ問題点が議論された。
 議題は各大学とも文部省に対する人と設備の要求ばかりで、神戸大学が会議を担当したときに、座長の小生から、たまには文部省にお土産を持って帰っていただく議論をしていただきたいと発言し若干の拍手が起こったことを記憶している。

 放射線部が講座から分離し、中央化され、主として放射線機器を管理し、臓器または疾患別専門医など多くの医師たちがこれらの機器を使って放射線医療を行う場所であるという概念はまちがいではないが、放射線部創設当時から議論があるように可能な限り診断または治療放射線専門医が中心となり、他科専門医と協力しながら、患者診療にあたるべきであろうと思う。
当然放射線専門医は他科専門医と同等またはそれ以上の実力が望まれる。

 医療の発展とともに、様々な放射線技術が消滅することは若干寂しさも感じるが、それらに代わる新しい技術を積極的に導入し、放射線部も進化しなければならない、つまり初物食いであって欲しい。当然それに伴う診断・治療放射線専門医の増強が望まれる。
 この目標を達成するためには、診療放射線技師、放射線部専門看護師(IVRなど)機器管理担当技師、医学物理士など医師以外の部門を担当する人たちなくしてはなし得ない。ただ医師同様専門化もある程度必要であろうと思う。

 
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