外来受診

認知症センターについて

ごあいさつ

本院では、20年以上にわたり精神科神経科にて認知症専門外来(メモリークリニック)を開設し認知症診療を実施してまいりました。2009年4月には本院に認知症センターが開設され、同年11月には神戸市ではじめてとなる認知症疾患医療センターの指定をうけました。2011年4月から脳神経内科も診療に加わり、全国でも珍しい精神科神経科と脳神経内科の二科協働のセンター運営で、それぞれの科の特性や得意分野を活かし早期診断からBPSD(周辺症状)への対応まで幅広いニーズに対応できる体制となっています。精神科神経科 前田潔教授、神経内科 戸田達史教授、精神科神経科 曽良一郎教授3代のセンター長を経て、2022年4月より4代目センター長を拝命しています。

神戸市では最大規模の認知症センターであり、神戸市が展開する神戸モデルで認知症の心配のある患者さんも多数来院いただき的確な診断と丁寧な相談業務を行っています。大学病院ならではの最新の機器・技術を用いて、てんかん、正常圧水頭症といった治る認知症から、アルツハイマー病に代表される変性性の認知症まで、的確な診断と治療をこころがけています。大学病院の使命として、病態解明、新たな治療法開発のために、治験を含めた臨床研究も展開しています。物忘れが心配な方から周辺症状にお困りの患者さんまで幅広く診療・相談ができる体制ですので、当センターをご利用いただければ幸いです。

認知症センター長松本 理器

認知症センター長

本センターの業務

診断

認知機能の変化の経緯や臨床心理検査、身体の症状、そしてMRIや血流シンチなどの画像検査を元に、より正確な早期診断を行います。

外科的な治療により改善が見込まれる慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症、薬物やうつによる認知機能の低下、てんかんや脳炎など治療介入により“治せる認知症”を見逃さないことが重要です。

現在神戸市では65歳以上の市民を対象とした認知症診断助成制度を実施しております(https://kobe-ninchisho.jp)が、そのうち当センターでは第2段階の認知機能精密検査を実施しています。

治療・介入

診断確定後は速やかに治療方針を決定いたします。薬剤を用いた治療に加えて、介護保険制度を利用したデーサービス参加などの非薬物療法も認知症の治療には重要です。両者がかみ合ったより治療、介入体制を実現するための環境整備も行います。

一時的に入院加療が必要な場合にも当院で、あるいは関連病院と連携して対応にあたります。

認知症の人・家族のサポート

診断をつけるための医療機関の紹介ならびに受診案内、診断後の治療介入、とくに介護保険の申請からサービスをうけるまでの手順、認知症の人の症状への対応の仕方など、認知症に関する様々な質問、疑問に精神保健福祉士が対応する相談窓口を設けております。

また“認知症サロン”のような場を設けて、認知症の人と家族にお集まり頂き、認知症に関するさまざまな講演や意見交換を実施します。現在はコロナ禍ということもあり、オンラインで実施中です。日時などは当センターまでお電話でお問い合わせください。

本ホームページや冊子などを通じて、必要な情報提供につとめます。

医療・保健・福祉関係者への研修

認知症の診療や介入に従事する方に、認知症の人への正しい対応方法などより専門的な知識を収得し、実際の症例においてその知識を生かせるよう、定期的に研修会や事例検討会を開催しています。

また、神戸市内での認知症に関する様々な諸問題を共有し、解決するための議論を行う認知症疾患医療連携協議会を神戸市内の他の認知症疾患医療センターとともに開催し、認知症診療レベルの向上をはかります。

臨床研究・治験の遂行

大学病院内に設置された認知症センターとして、最新の安心・安全な医療を提供すべく、認知症に関する世界水準の研究を積極的に進めています。新たな認知症治療薬開発のためには、治験とよばれる臨床試験が必須となります(https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/ctrc/patient/index.html)。メモリークリニックを受診された方の中から条件にあう方に情報提供し、治験参加にご希望があり、同意を得られた方に参加いただいています。現在行われている治験に興味のある方は、こちらをご参照ください。

近年の研究から、認知症は症状がでる前から脳に変化が出始めていることがわかってきました。そこで、ご自宅や地域にいながら認知機能のわずかな変化をとらえたり、予防につながるような生活習慣の改善を図ることが重要と考えられるようになり、こちらは保健学科と共同で研究を進めています。臨床研究に興味のある方は、こちらをご参照ください。

メモリークリニックを受診される人の中には、「治る」認知症として、高齢発症てんかんや自己免疫性脳炎の方がおられます。また、認知症の症状としててんかん発作が出現する人も少なからずおられます。当院では、このような病態に関して、早期の発見、そして治療をおこなうべく臨床研究を進めています。臨床研究に興味のある方は、こちらをご参照ください。

メモリークリニックの受診方法

  • 当院の認知症専門外来(メモリークリニック)は完全予約制となっております。
  • 直接患者さん、ご家族などが当センター(078-382-6908)にご連絡いただく方法と、現在のかかりつけ医のクリニックから当院の患者支援センターにご連絡いただく方法があります。
  • 地域医療機関からの紹介状が無い場合、保険診療以外に選定療養費として11、000円を別途申し受けますので充分ご注意ください(認知症診断助成制度(神戸モデル)ご利用の場合、第1段階医療機関からの紹介状をお忘れないようにお願いいたします)
  • 受診には患者さんだけではなく、可能な限りご家族の同伴をお願いしております。
  • あらかじめ問診票(もの忘れ外来 予診票)(高齢者てんかん症状チェックシート)をダウンロード頂き、印刷の後記入して受診日に持参くださると時間の節約となります。
  • 現在の担当者は以下の通りです。

精神科神経科

午後
  • 山本 泰司
午後
  • (1、3週)蓬莱 政
  • (2、4週)新名 尚史
  • (5週)休診
午後
  • 山本 泰司
午後
  • (1、3週)木村 敦
  • (2、4週)山木 愛久
  • (5週)休診
-
  • 休診

脳神経内科

午後
  • 関口 兼司
午前
  • 古和 久朋
午後
  • 森本 耕平
午前
  • 的場 健人
-
  • 休診
午前
  • 関 恒慶

認知症ハンドブック

当センターでは、認知症ならびに認知症の方への対応について理解を深めていただく目的で、「認知症ハンドブック」を作成しております。本書では認知症の症状、鑑別診断の方法、治療、ケアのほか、ご利用いただける相談窓口や認知症の予防についても記載しております。認知症の方、ご家族、支援される方々の不安や悩みを少しでも解消する助けとなれば幸いです。

認知症ハンドブック

認知症ハンドブック

認知症の「予防」を目指した取り組み

国の認知症施策推進大綱では、認知症の共生と共に予防が謳われています。これは認知症にならないようにする、ということだけではなく、認知症や軽度認知障害と診断されても、さらにその症状を悪化させない、という意味も含まれています。
当センターでは今からできる認知症予防と題して予防につながる生活上の留意点をまとまた冊子を作成しましたので、ぜひご活用ください。

今からできる認知症予防

今からできる認知症予防

相談窓口連絡先(認知症専門の精神保健福祉士が対応いたします)

認知症センター(外来診療棟3階 精神科神経科外来内)

受付
平日:9時00分~12時00分および13時00分~17時00分
(土・日・祝日・年末年始はお休みです)。
TEL
078-382-6908(直通)

認知症の情報に関するリンク集

臨床研究一覧

現在進行中の臨床研究

新規の治療薬開発(治験と呼ばれます)以外にも、当センターでは認知症の早期発見や認知症を発症するメカニズムの解明を目的とした臨床研究を実施しています。

J-TRC研究

アルツハイマー型認知症の発症リスクを持つ可能性のある方を、認知機能の経過を追うことによって見出し、アルツハイマー病予防薬の臨床試験へのご参加を可能とすることを目的に研究が進行中です。
インターネット上で定期的な検査を受けていただき(J-TRCウェブ研究と呼びます)、記憶テストの結果などから、記憶や思考する能力に変化が疑われるなどJ-TRCオンサイト研究に参加いただけると考えられる場合に、当センターにて詳細な検査を実施します。

画像で変化が見られず軽度の認知機能障害と新規発症てんかんの併存と診断された中高年患者の病態解明に関する研究

てんかんと認知症はとても密接な関係にあることが知られています。特にアルツハイマー病では病初期にてんかんを合併することが多いのですが、その原因についてはよくわかっていません。
病初期におけるてんかんと認知症の正確な病態評価および治療を行うため、当センターでは認知機能検査、画像検査、脳波検査と各種指標に関する臨床研究を行っています。

治験一覧