第69回 総合内科

2023.02.8|診療科

Interviewee 乙井 一典  神戸大学医学部附属病院 総合内科 診療科長補佐

 

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職歴

1999年 神戸大学医学部卒業
2010年~2016年 神戸労災病院 循環器科 医長/総合内科 副部長
2016年~2022年 神戸大学医学部附属病院 総合内科 助教
2022年12月~現職

【所属学会、資格等】
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本循環器学会専門医、日本老年医学会専門医、指導医、日本動脈硬化学会専門医、指導医、日本脈管学会専門医、指導医、日本血栓止血学会認定医、日本病院総合診療医学会認定医、指導医、日本プライマリケア連合学会認定医、指導医、総合診療専門研修 特任指導医、ICLSディレクター、JMECCインストラクター、American College of Physician Membership、医学博士
【役職】
准教授、診療科長補佐、病棟医長
【専門領域】
総合内科、循環器内科、老年内科

Interviewer 山室 紘 神戸大学医学部附属病院 総合内科 医員(後期研修医)

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職歴

2021年 兵庫医科大学医学部卒業
2021年~2022年 神戸大学医学部附属病院 初期研修医
2023年4月~ 神戸大学医学部附属病院 総合内科 後期研修医

【所属学会、資格等】
日本内科学会、JMECCコース履修

代替文字
山室先生
総合内科ってどんな病気、患者さんを診てるのですか?
 
代替文字
乙井先生
どの病院の総合内科でも、臓器別ではなく患者全体を診る「全人医療」の提供が基本的な診療スタイルかと思います。ただ各病院での総合内科の位置づけや構成メンバーの専門性などで、具体的にどのような疾患、患者さんを診ているかは、実は微妙に違っています。内科すべてのサブスぺ(専門診療科)が揃った神戸大学病院では、診断未確定の患者さんや、併存疾患が多く全身管理が必要な患者さんの診療を我々が担うことが多いです。また基本的には様々な患者さんを診断から治療まで行う「横断型」の診療スタイルをとり、診療範囲は内科全領域の多岐に渡っています。更にここ数年は内科救急のフロントラインとして、救急医療にも携わっていますので、各領域のcommon diseaseは我々で診断から治療まで行いますし、専門的治療を要する場合はサブスぺと協働しながら、シームレスに患者さん中心の「全人医療」マインドで診療に当たっています。
 
代替文字
山室先生
総合内科にはどんな先生がいるのですか?
 
 
代替文字
乙井先生
我々の総合内科は、総合内科を専門とする医師(Generalist as Specialist)、総合内科マインドを持ちつつ何かサブスペを持った医師(Specialist as Generalist)など、様々な得意分野を持った内科医師が集まっていますし、現在内科救急を行うに当たり、他のサブスぺより期間限定ですが応援医師を派遣頂いています。そのため多分野のサブスぺが集まっていることで、診断に難渋するような症例を「ドクターG」のように診断推論していく我々の強みを補完してくれるだけでなく、当科で診断から治療まで完結できる疾患も増えていますし、各サブスぺに治療をお任せする際にもスムーズに診療移行が出来ています。また内科以外の診療科とも、専門的治療が終了しても内科的な全身管理が必要な際は当科が請け負い、全身管理や退院支援の調整を行うなど、当科から専門診療科への診断➡治療依頼の一方向ではなく、当科と専門診療科間には双方向的な診療体制が構築されていますし、更に多診療科が関わるような場合は「ハブ」的役割を担って、患者中心の医療の実践に努めています。つまり臓器別の縦割り診療である現在において、我々の総合内科は様々な専門・得意分野を持った内科医師が協働して、敵(病気)に立ち向かう「アベンジャーズ」のような存在であるべきと思っていますし、それを目指しています。
 
代替文字
山室先生
総合内科の雰囲気はどうですか?
 
代替文字
乙井先生
上記のように、絶えず複数のサブスぺからの派遣医師がいることで、専門的見地からの考え方や診断・治療法などをメンバー全員が共有でき、お互いに勉強・成長できる環境にあります。派遣医師が入れ替わること、一年目研修医が全員ローテートしてくれることで、絶えず新鮮な空気が入り、かつ若手が多いこともあり和気あいあいとした雰囲気になっています。
また救急科含め他診療科との関わりも多いことから、総合内科ローテート中は院内でのネットワーク作りの一助になるかと思っています。
 
代替文字
山室先生
総合内科ではどんな研修ができますか?
 
代替文字
乙井先生
主に入院患者さんの診療を担当してもらっています。診断がついていない症例からは、病歴聴取・身体診察・基本検査とその解釈、それらの情報収集から診断にいたる臨床推論を学び、多くの併存疾患があり全身管理が必要な症例からは重症管理を学びます。また救急医療・緊急症例の救急対応なども学びます。更に今後は指導医バックアップのもと、一般外来診療の担当もしてもらおうかと考えています。common diseaseから各領域の専門疾患、診断に苦慮するような珍しい症例を経験することもできるかと思いますし、機会があれば学会発表やケースレポートの作成なども経験できるかと思います。
 
代替文字
山室先生
最後に学生・研修医に一言お願いします。
 
代替文字
乙井先生
我々総合内科のミッションは「より良い医療を提供し、社会に貢献する」ことですが、そのためには我々自身が良い医師になること、そして良い医師を育てることが重要であると考えています。良い医療の定義は様々ですが、患者さん・家族を「幸せ」にすることが良い医療だと我々は考えていますので、その良い医療を行うためには、医学知識・スキルだけでは不十分で、どの分野に進んでも必要となる医師としての「基礎体力」である①患者をケアする能力、②医学的知識、③症例から学び、自分を改善する能力、④人とのコミュニケーション能力、⑤プロフェッショナリズム、⑥医療・社会制度への理解、を磨く必要があると思っています。どんな分野に進み、どんな病院で働くにしても必要となる「医師の基礎体力」を一緒に身につけていきましょう。
  

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