Interviewee 羽間 大祐 神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 呼吸器内科学分野 助教
職歴
2010年 神戸大学医学部医学科 卒業
2010年 公益財団法人田附興風会医学研究所 北野病院 初期研修医
2012年 公益財団法人田附興風会医学研究所 北野病院 呼吸器内科 後期研修医
2015年 神戸大学医学部附属病院 呼吸器内科 医員
2020年 神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 呼吸器内科学分野 特命助教
2021年 神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 呼吸器内科学分野 助教
Interviewer 木田 菜々美 神戸大学医学部附属病院 呼吸器内科 医員
職歴
2018年 福井大学医学部卒業
2018年 兵庫県立淡路医療センター 初期研修医
2020年 明石医療センター 呼吸器内科 後期研修医
2023年 明石医療センター 呼吸器内科 医員
2024年 神戸大学医学部附属病院 呼吸器内科 医員

呼吸器内科ではどんな症例が経験できますか?
入院症例では肺癌、胸腺癌、中皮腫といった腫瘍性疾患のほか、間質性肺炎、COPDなどが多いです。気胸や胸水で胸腔穿刺や胸腔ドレナージといった処置を要する入院症例もあります。気管支喘息や、非結核性抗酸菌症をはじめとする呼吸器感染症は外来診療がメインですが、増悪して入院されることもあります。入院時には病名がついていない症例の診断を入院中につけたり、他科から珍しい病態のコンサルテーションを受けたりすることも大変勉強になります。

研修体制について教えてください。
病棟は2チームにわかれており、いずれかのチームに配属されます。どちらのチームも主治医(教員)と数名の指導医(卒後5-10年目程度)から構成され、ものの考え方(検査計画、検査結果の解釈、診断、治療)や伝え方(カンファレンスでのプレゼンテーションはもちろんん、患者や家族への説明の仕方)、手技(胸腔穿刺、胸腔ドレーン、人工呼吸器管理)などの指導を受けることができます。毎週火曜日の気管支鏡検査では他の教員や大学院生を含めた全員が集まり、その日に行われる全気管支鏡症例について議論したうえで共通認識をもって検査に臨んでいます。他の先生方の手技を見学、補助することもとても勉強になります。どの先生も博学で優しいので、困ったことがあっても相談しやすいです。

市中病院と大学病院の違いはなんですか?
最新の知見に触れることができますし、臨床研究を通してこの先の治療の方向性や今注目されている点についても知ることができます。また、呼吸器外科、放射線科、病理診断科といった関連科が充実しているため、疾患や病態に関するより深い理解が得られます。医師だけでなく看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカーなどとの関わりの中で多職種連携の重要さを学ぶことができます。希望者には学会発表の指導も行っており、発信する姿勢も身につけることができます。

最後に学生、研修医に一言お願いします。
呼吸器内科では、急性期から慢性期、終末期医療まで経験でき、抗がん薬・抗菌薬・吸入薬・ステロイド・オピオイドといった多種多様な薬剤の使用方法や、人工呼吸器などを用いた全身管理、気管支鏡や胸腔ドレーンといった手技、在宅酸素療法、緩和医療など幅広い知識や技術を習得することができます。「聴診に自信がない」「レントゲンの読影が苦手」「咳の患者さんの診かたがわからない」などちょっとしたことが入り口でも結構です。広くて深い呼吸器の世界にまずは触れてみませんか。