Interviewee 児玉 裕三 神戸大学大学院医学研究科 消化器内科学分野 教授
学歴・職歴
1994年 神戸大学医学部医学科卒業
1999年〜2003年 京都大学大学院医学研究科 博士課程
2005年 京都大学博士
1994年 神戸大学医学部附属病院内科研修医
1995年 兵庫県立淡路病院内科 研修医
1996年 明石市立市民病院消化器内科 医員
2003年 京都大学医学部附属病院消化器内科 医員
2005年 米国コロンビア大学 研究員
2007年 米国カリフォルニア大学サンディエゴ校 研究員
2009年 京都大学医学部附属病院消化器内科 医員
2010年 京都大学大学院医学研究科 消化器内科学 助教
2016年 京都大学医学部附属病院 内視鏡部副部長兼任
2017年 京都大学大学院医学研究科 消化器内科学 講師
2018年 現職
所属学会・資格
日本内科学会(総合内科専門医)、日本消化器病学会(専門医・指導医)、日本消化器内視鏡学会(専門医・指導医)、日本膵臓学会(指導医)、日本胆道病学会(指導医)、日本肝臓学会、日本癌学会、日本レーザー医学会
Interviewer 宇野 友哉 神戸大学附属病院消化器内科 専攻医
学歴・職歴
2016年3月 西宮市立西宮高等学校卒業
2016年4月~2022年3月 島根大学医学部医学科
2022年4月~ 北播磨総合医療センター研修医(1年目)
2023年4月~ 神戸大学医学部付属病院研修医(2年目)
2024年4月~ 神戸大学医学部付属病院消化器内科
2025年4月~ 兵庫県立丹波医療センター消化器内科

今日は来てくれてありがとう!宇野先生は、研修医2年目から継続して3年目を当院消化器内科で過ごしてくれました。素晴らしい活躍をしてくれたと思いますし、今後がとても楽しみです。

ありがとうございます!ところで今日はインタビューということですから、いくつか質問させていただきます。
まず、大学で専攻医期間を過ごすことの一番のメリットは何でしょうか?
まず、大学で専攻医期間を過ごすことの一番のメリットは何でしょうか?

それ、一番の核心ですね!とにかくたくさんの指導医がいるということにつきます。
消化器内科は、扱う臓器がたくさんあります。これが他科との一番の違いです。そのすべての領域にマスターといえる指導医がいる。市中病院ではなかなかそうはいきませんね。
もちろん、消化器内科医師は自分の専門以外の領域も診れますよ。私なら胆膵が専門ですが、消化管も肝臓も診療します。ですが、その道のエキスパートと全く同じレベルの知識を全分野に持っているわけではないです。
大学で研修することで、updateされた正しい知識技術を、それぞれの領域のエキスパートから学べる。この経験はその後の医師人生に大きな影響を与えると思います。
消化器内科は、扱う臓器がたくさんあります。これが他科との一番の違いです。そのすべての領域にマスターといえる指導医がいる。市中病院ではなかなかそうはいきませんね。
もちろん、消化器内科医師は自分の専門以外の領域も診れますよ。私なら胆膵が専門ですが、消化管も肝臓も診療します。ですが、その道のエキスパートと全く同じレベルの知識を全分野に持っているわけではないです。
大学で研修することで、updateされた正しい知識技術を、それぞれの領域のエキスパートから学べる。この経験はその後の医師人生に大きな影響を与えると思います。

なるほど。確かにそうですね。正しいと自信を持っていえる評価軸のようなものを、専攻医の間に作ることができたら、今後にとても活きる気がします。でも、それって専攻医でなくてももっと後でも良いのではないですか?

鋭い質問ですね!ですが、私はそれを専攻医の間に経験することこそが重要と考えています。思い返してみると、研修医・専攻医時代にオーベンから教わったことって驚くほど頭の中に残っているんです。だからこそ、その道を究めた医師だけが伝えられることを、全ての領域で感じ取ってほしいのです。若い先生たちだからできることなんです。
そしてもう一つ、案外大学の消化器内科ってcommonな病気もたくさん診ているんです。これは救急疾患を当科が積極的に受け入れていることにも関係しています。マンパワーがあるのでなんでも断らずに受け入れられるんです。来年から市中に先生が出てもきっと活躍できると思います。難しい疾患しか診ないのが大学、というステレオタイプは当科には当てはまらないですね!
そしてもう一つ、案外大学の消化器内科ってcommonな病気もたくさん診ているんです。これは救急疾患を当科が積極的に受け入れていることにも関係しています。マンパワーがあるのでなんでも断らずに受け入れられるんです。来年から市中に先生が出てもきっと活躍できると思います。難しい疾患しか診ないのが大学、というステレオタイプは当科には当てはまらないですね!

ありがとうございます。自信がみなぎってきました(笑)
ところで、大学で研修することのデメリットもお聞きしてよいですか?
ところで、大学で研修することのデメリットもお聞きしてよいですか?

それは正直答えたくない質問ですね(笑)
ですが、だからこそ研修医・専攻医の先生たちが一番聞きたいところかもしれません。
これは仕方のないことなのですが、組織が大きいので科間の垣根や交流はどうしても薄くなります。市中でいろんな科の先生が専攻医室にいてワイワイ、みたいなことは難しい。でも、同じ科の少し上の先生たちと一緒に過ごすことも、悪くないかなと思ってます。みんな優しい先生たちばかりですから。
あとは、医師が外勤しながら大学勤務をしていることでしょうか。ずっと院内にいたら難なくできることや、た易く入ってくる情報も、案外スムーズにいかないんです。でも生きていくために外勤は必要ですよね。私たちは、そのweak pointをしっかり見つめ、対策を取っています。情報共有の大切さを医局員みなが認識し、チーム全員が同じ情報を持っていることを重視して病棟業務を行っています。もちろん専攻医の先生にも負担の少ない外勤に積極的に行ってもらってます。これもいい経験の一つです。市中病院ではできない経験ですよね!
ですが、だからこそ研修医・専攻医の先生たちが一番聞きたいところかもしれません。
これは仕方のないことなのですが、組織が大きいので科間の垣根や交流はどうしても薄くなります。市中でいろんな科の先生が専攻医室にいてワイワイ、みたいなことは難しい。でも、同じ科の少し上の先生たちと一緒に過ごすことも、悪くないかなと思ってます。みんな優しい先生たちばかりですから。
あとは、医師が外勤しながら大学勤務をしていることでしょうか。ずっと院内にいたら難なくできることや、た易く入ってくる情報も、案外スムーズにいかないんです。でも生きていくために外勤は必要ですよね。私たちは、そのweak pointをしっかり見つめ、対策を取っています。情報共有の大切さを医局員みなが認識し、チーム全員が同じ情報を持っていることを重視して病棟業務を行っています。もちろん専攻医の先生にも負担の少ない外勤に積極的に行ってもらってます。これもいい経験の一つです。市中病院ではできない経験ですよね!

なるほど。大学でのチーム医療の大切さを今本当に理解できた気がします。
実はもう一つデメリットじゃないかと心配していることがあるんですが、、大学って症例経験数という点でデメリットになりませんか?
実はもう一つデメリットじゃないかと心配していることがあるんですが、、大学って症例経験数という点でデメリットになりませんか?

そうですね、それも皆さん心配されていると思います。
ただ、私の見解としては、それは指導医次第、だと思っています。そして、当科の指導医は基本的に若い先生に積極的にさせる人たちばかりです。
これって、上級医の意識改革がとても重要なんですよ。自分がいつまでも手技ばかりできるわけじゃない、それよりも若い先生に早く上達してもらった方が、圧倒的にチーム力は上がる。それを理解している指導医は、トレイニーの実力に応じて適切に手技経験を振り分けます。常に指導することを求められる教育機関であるのが大学です。私は消化器内科の指導医全員がそうあるべきだ、と指導しています。
何でもかんでもやらせたらうまくなるわけじゃないし、見せてるだけもダメ、説明ばかりしててもダメ。市中病院では症例数を稼いでもらったらいい、大学では適正な症例レベルと症例数を与え、最大限の学習効果を得る、そういう指導をすべきだと考えています。
ただ、私の見解としては、それは指導医次第、だと思っています。そして、当科の指導医は基本的に若い先生に積極的にさせる人たちばかりです。
これって、上級医の意識改革がとても重要なんですよ。自分がいつまでも手技ばかりできるわけじゃない、それよりも若い先生に早く上達してもらった方が、圧倒的にチーム力は上がる。それを理解している指導医は、トレイニーの実力に応じて適切に手技経験を振り分けます。常に指導することを求められる教育機関であるのが大学です。私は消化器内科の指導医全員がそうあるべきだ、と指導しています。
何でもかんでもやらせたらうまくなるわけじゃないし、見せてるだけもダメ、説明ばかりしててもダメ。市中病院では症例数を稼いでもらったらいい、大学では適正な症例レベルと症例数を与え、最大限の学習効果を得る、そういう指導をすべきだと考えています。

ありがとうございます。指導医の先生たちがおっしゃることは、とても深い内容だなと思うことが多いです。いつか自分もそんな存在になりたいなと思います。

先生ならきっとなれますよ!
最後に一つだけ伝えておきたいと思います。
私たち消化器内科は、大学だけですべての指導が完結するとは全く思っていません。市中病院で症例にまみれることも大切な経験だし、大学でしか学べない症例にじっくり向き合うことも大事です。だからこそ、最初の研修医専攻医生活のうち半年~2年位を大学で研修してほしいなと思っています。たくさんの指導医に出会い、自分の目指すべき医師像をしっかり作ってほしい。
医局というのは、それをサポートする存在です。各市中病院の指導医とも連携を常に取り、しっかりと申し送って自分の育てた医師を次の病院に送り出す。これが私たちの役割です。こうした体制を地道に作っていくことで、若い素晴らしい消化器内科医がたくさん輩出されるsoilを醸成したいと考えています。
最後に一つだけ伝えておきたいと思います。
私たち消化器内科は、大学だけですべての指導が完結するとは全く思っていません。市中病院で症例にまみれることも大切な経験だし、大学でしか学べない症例にじっくり向き合うことも大事です。だからこそ、最初の研修医専攻医生活のうち半年~2年位を大学で研修してほしいなと思っています。たくさんの指導医に出会い、自分の目指すべき医師像をしっかり作ってほしい。
医局というのは、それをサポートする存在です。各市中病院の指導医とも連携を常に取り、しっかりと申し送って自分の育てた医師を次の病院に送り出す。これが私たちの役割です。こうした体制を地道に作っていくことで、若い素晴らしい消化器内科医がたくさん輩出されるsoilを醸成したいと考えています。

とっても熱いお話でしたし、これからも頑張ろう、って思えました。
どうもありがとうございました!
どうもありがとうございました!

こちらこそありがとう!これからもよろしく頼みますね!!