第10回 脳神経内科

 

Interviewee 松本 理器 神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 脳神経内科学分野 教授

 

学歴
平成6年3月 京都大学医学部卒業
平成15年3月 京都大学大学院医学研究科脳統御医科学系専攻修了(医学博士)
職歴
平成6年5月 京都大学医学部附属病院(研修医)
平成7年4月 大阪赤十字病院(研修医・医師)
平成12年7月 クリーブランドクリニック神経内科てんかん・臨床神経生理部門クリニカルフェロー
平成14年7月 京都大学医学部附属病院神経内科(医員)
平成18年4月 国立病院機構宇多野病院 神経内科医長
平成19年4月 京都大学医学部附属病院神経内科 助教
平成24年8月 京都大学大学院医学研究科 臨床神経学講師
平成25年8月 同 てんかん・運動異常生理学講座特定准教授
平成28年8月 同 臨床神経学准教授
平成30年12月 神戸大学大学院医学研究科内科学講座 神経内科学分野教授
令和元年5月 同 脳神経内科学分野教授(分野名変更)
資格
ECFMG certificate
日本内科学会 総合内科専門医、指導医
日本神経学会 神経内科専門医、指導医
日本てんかん学会 専門医、指導医
日本臨床神経生理学会 専門医、指導医
所属学会
日本内科学会、日本神経学会、日本てんかん学会、日本臨床神経生理学会、日本脳卒中学会会員、日本神経治療学会、日本神経治療学会、日本神経感染症学会、日本神経病理学会、日本神経心理学会、日本神経科学学会
American Epilepsy Society、American Academy of Neurology, Society for Neuroscience

Interviewer 城間 京香 神戸大学医学部附属病院 脳神経内科 医員(内科専攻医)

 

 

学歴
平成29年3月 神戸大学医学部卒業
職歴
平成29年4月 天理よろづ相談所病院 初期研修医
平成31年4月 神戸大学医学部附属病院 脳神経内科 医員(内科専攻医)
所属学会
日本内科学会
日本神経学会

 

脳神経内科ではどういう患者さんを診療していますか?

一般的に想像されるのはパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)に代表される神経変性疾患ですが、自己免疫疾患である多発性硬化症や重症筋無力症なども同じくらいの頻度があります。また超高齢社会となり、脳卒中・認知症・てんかんは脳神経領域のcommon diseaseと言えるほど増加しています。さらにめまい、しびれ、歩行障害、意識障害など多彩な症状の患者さんに対して、それが神経疾患なのか全身的な原因なのかを診断することも日常診療の一つです。治療の進歩も目覚ましく、かつては治らないと言われた神経変性疾患でさえも遺伝子治療などが実現しています。

診療体制はどうなっていますか?

病棟は主治医団・屋根瓦方式で、教員・神経内科専門医・内科専攻医・初期研修医がチームを組んで患者さんを受け持ちます。神経診察や検査手技などは専門医の指導の下で行い、治療方針はチーム内でdiscussionをしたり全体カンファレンスで検討します。外来は神経内科専門医が初診・再診を担当しますが、院内の緊急対応は専門医と専攻医がオンコールチームを組んで対応に当たっています。大学を離れて関連病院でも必ず神経内科専門医の下で若手医師が研修を行い、常に教育・指導ができる体制を整えています。

どんなキャリアプランがありますか?

まず内科専門医を取得後に、卒後7年目以降で神経内科専門医を目指します。専門医取得後は様々なケースがあり、大学院で研究をして留学を目指す人、市中病院で臨床の研鑽を積む人、大学に残って教育に関わる人、外来診療を中心にして子育ても頑張る人、企業や研究機関に活躍の場を求める人、、、いずれにしても神経内科専門医を取得すればspecialistとしてのニーズは沢山あり、逆に脳神経の分かるgeneralistとしても重宝されます。

脳神経内科医としてのやりがいはなんですか?

第一に、自分の問診や診察がそのまま患者さんの診断につながることです。いくら検査が発展しても、どこを検査すればいいのか、原因(局在)がどこにあるのかは診察によって明らかとなり、それを正しく診断することはまさに医師冥利に尽きます。第二に、これまで分からなかったことが分かる時代になっていることです。近年の生命科学、神経科学の進歩により、「治る脳神経内科」に確実に近づいており、新たな病態の発見や治療法の開発を日々肌で感じています。自分たちの研究が難病を克服するということも決して妄想ではありません。そして第三に、これが最も重要ですが、患者さんの人生に寄り添えることです。神経疾患はいくら治療が進んでもやはり慢性疾患でADL、QOLが低下します。私たちは医学的なことはもちろん、患者さんの日常生活や人生設計にも関わることが多く、そこで助けになれることが最大のやりがいでありモチベーションとなっています。

最後に一言メッセージを

古くから海外に門戸を開いた神戸港の影響でしょうか、教室は活気があり、個性・多様性を尊重しながら切磋琢磨しています。創立10年の若い教室ですが、診療・教育・研究面での人との出会い、つながりを大切にして、治る脳神経内科をめざし、神戸から世界に発信し、社会に貢献したいと考えています。私は医師になり25年が経ちましたが、この年になっても脳神経内科は面白く、そして奥深く、一人一人の患者さんから学んでいます。超高齢社会において脳神経内科の裾野は本当に広く、脳神経に少しでも興味があれば、是非、一度見学や初期研修にお越しください。

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