第12回 腫瘍・血液内科

Interviewee:南 博信 神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科 教授

1986年 名古屋大学医学部卒業
1986年 名古屋第一赤十字病院臨床研修
1988年 名古屋第一赤十字病院内科
1994年 米国、シカゴ大学メディカルセンター
1996年 国立がんセンター東病院化学療法科
2002年6月 国立がんセンター東病院化学療法科医長
2003年4月 国立がんセンター東病院治験管理室室長併任
2005年10月 国立がんセンター東病院臨床検査部
細胞機能検査室医長併任
2007年6月 神戸大学医学部附属病院・神戸大学大学院医学系研究科内科学講座腫瘍内科学分野特命教授
2010年11月 神戸大学医学部附属病院・神戸大学大学院 医学系研究科内科学講座腫瘍・血液内科学分野 教授

Interviewer:渡部 まりか 神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科 医員

2010年4月 神戸大学入学
2016年3月 神戸大学卒業
2016年4月 神戸大学医学部附属病院(研修医)
2018年4月 神戸市立医療センター西市民病院 勤務
2019年4月 神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科 勤務
腫瘍・血液内科ってどんなところ?

腫瘍・血液内科はどんな患者さんを診ていますか?

当科は,腫瘍内科をメインとしている医師と血液内科をメインにしている医師がおり,固形腫瘍・血液腫瘍のいずれも治療を行っています.固形腫瘍のメインの疾患としては消化器癌,頭頚部癌が多いですが,肉腫などさまざまな疾患を診ています.今や日本人の2人に1人はがんに罹り,3人に1人はがんで亡くなる時代と言われています.当科の需要は劇的に増加しており,また治療の発展に伴い長期生存を得られているがんもあり,二次性発がんや重複がんなど,治療選択に悩む状況であっても当科では臓器特異的にとらわれずカンファレンスを行えるので,患者さんごとに最適の治療を選択することができます.

診療体制はどうなっていますか?また,研修はどのようなカリキュラムになっていますか?

当科はチームで診療しています.腫瘍グループと血液グループに分かれており,若手の医師は専門医の指導の下チームで診療方針を決定していますが慣れてきたら主治医として積極的に診療にあたってもらっています.毎週腫瘍グループ・血液グループ合同のカンファレンスがあり,方針の悩ましい症例に関しては科全体の医師でdiscussionをしています.当科の目指す医師像としては,“どんな腫瘍も診られる医師”=oncologistであり,若手の医師にはどちらのグループもローテートしていただき,理解を深めてもらっています.

血液疾患は難しい疾患が多そうで,固形腫瘍も化学療法の種類が多く,少しとっつきにくい印象があります.みなさんはどのように勉強されているのでしょうか?

当科では勉強会や抄読会などを定期的に開催し,腫瘍グループ・血液グループ関係なくお互いに意見交換をしながら切磋琢磨しています.確かに,最初は難しいと感じるかもしれませんが,一番の教科書はまさに実診療で患者さんに触れ,どのようにしていくのがよいか患者さんに寄り添いながら考えることだと思っています.腫瘍という病は一遍通りでなく,患者さんはそれぞれ身体の状態から社会背景までさまざまです.そういったことを加味しながら診療を行っていると,自然と色々な知識が身につきますし,また目の前の患者さんのためにもっと知識を深めたいと思うようになるはずです.

専門医の取得や,女性医師のキャリアプランはどうでしょうか?

当科では,内科専門医はもちろんのこと,腫瘍内科専門医,血液専門医のいずれも取得可能です.当科には消化器内科や耳鼻科など,他科のスペシャリティを持っている医師も多く在籍しています.大学院への進学もすすめており,研究や学会・論文発表に関しても意欲的に行っています.腫瘍は様々な症状を引き起こすので,時に我々は総合内科的な視点を必要とすることもあり,generalistとしてのキャリアを積むことも可能だと思います.また,当科の女性には結婚されてお子さんのいらっしゃる方もいますが,いろいろな働き方で日々の診療に携わっており,忙しい女性医師にも望むようなキャリアプランが形作れるよう相談に乗っています.

頑張って治療をしても亡くなる方もやはりおられて,辛いことも多い科ですが,いかがですか?

辛いことは多いと思います.しかし,中にはきちんと治療すれば治るがん,治るまではいかなくても生存期間が伸ばせるがんもあり,我々医師はエビデンスに基づいた治療をすすめ治癒を目指す使命があると思っています.また,日々の研究にて新たな治療法を見つけ出し,いつかどんな腫瘍も治る疾患になることを夢見て日夜努力を重ねています.しかし,現在の医療技術では人間にはいずれにしてもいつか死が訪れるものであり,その原因が腫瘍であることは大いにあります.そんなときでも,目の前の患者さんがたった一度の人生を思う存分全うできるよう,命のある限り色々な面から支えていける医療を目指しています.

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