第35回 総合内科

Interviewee: 坂口 一彦 神戸大学医学部附属病院 総合内科診療科長

「役職」:准教授、診療科長
「専門領域」:総合内科、糖尿病代謝疾患
「得意な診療分野」:糖代謝異常、消化器疾患、生活習慣病を含む一般内科
【プロフィール】
1989年 神戸大学医学部卒業
2000年~2006年 石川島播磨重工業健康保険組合播磨病院(現:IHI播磨病院)内科部長
2006年~2016年 神戸大学糖尿病内分泌内科 助手、助教、講師
2016年4月~現職
【所属学会、資格等】
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医・指導医、
日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、
日本高血圧学会専門医、日本病態栄養学会専門医、
日本病院総合診療医学会認定医・指導医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医
American College of Physician Membership
医学博士
Interviewer:藤澤 聡 神戸大学医学部附属病院総合内科 医員

 

「役職」:医員(後期研修医)
【プロフィール】
2019年 神戸大学医学部卒業
2019年~2021年 神戸大学医学部附属病院 初期研修医
2021年4月~ 神戸大学医学部附属病院 総合内科 後期研修医
【所属学会、資格等】
• 日本内科学会、米国内科学会
• BDLS,AMLS,JMECC,ISLSコース履修
• USMLE Step1合格
• FCCS プロバイダー

総合内科ってどんなところ?

総合内科ってどんな病気を診るのですか?
内科の専門診療科が揃った大学病院では、診断未確定の患者や、併存疾患が多く全身管理が必要な患者の診療を我々が担うことが多いです。様々な症例を診断から治療まで行う「横断型」の診療スタイルをとり、診療疾患は内科全領域の多岐にわたります。また内科救急のフロントラインとして、救急医療にも携わっていますので、各領域のcommon diseaseは我々で診断から治療まで行いますし、専門的治療を要する場合は専門診療科と協働しながら、シームレスに患者中心の「全人医療」マインドで診療に当たっています。
総合内科にはどんな先生がいるのですか?
現在、総合内科を専門とする医師(Generalist as Specialist)、総合内科マインドを持ちつつ何か一つサブスペシャリティを持つ医師(Specialist as Generalist)など、様々な得意分野を持った内科医師が集まっています。そのため、診断に難渋するような症例を「ドクターG」のように診断推論していくことは我々の強みではありますが、診断のみで治療は各診療科にお任せするというのではなく、common diseaseは我々で治療まで行いますし、多診療科が関わるような場合は、患者中心の医療実践のため「ハブ」的役割を担っています。
つまり臓器別の縦割り診療である現在において、我々の総合内科は様々な専門・得意分野を持った内科医師が協働して、敵(病気)に立ち向かう「アベンジャーズ」のような存在であるべきと考えています。
総合内科の雰囲気はどうですか?
大学病院内では内科救急の窓口を担うに当たり、期間は様々ですが内科の他診療科より派遣医師が来てくれています。その結果、絶えず複数の診療科の派遣医師がいることで、専門的見地からの考え方や診断・治療法などをメンバー全員が共有でき、お互いに勉強・成長できる環境にあります。
派遣医師が入れ替わること、一年目研修医が全員ローテートしてくれることで、絶えず新鮮な空気が入り、かつ若手が多いこともあり和気あいあいとした雰囲気になっています。また救急科含め他診療科との関わりも多いことから、総合内科ローテート中は院内でのネットワーク作りの一助になるかと思います。
総合内科ではどんな研修ができますか?
主に入院患者の診療を担当します。診断がついていない症例からは、病歴聴取・身体診察・基本検査とその解釈、それらの情報収集から診断にいたる臨床推論を学び、併存疾患を多数有し全身管理が必要な症例からは重症管理を学びます。また救急医療・緊急症例の救急対応なども学びます。common diseaseから各領域の専門疾患、診断に苦慮するような珍しい症例を経験することもできるかと思いますし、機会があれば学会発表やケースレポートの作成なども経験できるかと思います。
最後に学生・研修医に一言お願いします。
我々総合内科のミッションは「よりよい医療を提供し、社会に貢献する」ことですが、そのためには我々自身がよい医師になること、そしてよい医師を育てることが重要であると考えています。よい医療の定義は様々ですが、患者・家族を「幸せ」にすることがよい医療だと我々は考えていますので、そのよい医療を行うためには、医学知識・スキルだけでは十分でなく、どの分野に進んでも必要となる医師としての「基礎体力」、①患者をケアする能力、②医学的知識、③症例から学び、自分を改善する能力、④人とのコミュニケーション能力、⑤プロフェッショナリズム、⑥医療・社会制度への理解、を磨く必要があると思います。
どんな分野に進み、どんな病院で働くにしても必要となる「医師の基礎体力」を一緒に身につけていきましょう

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