第36回 循環器内科

Interviewee: 川森 裕之  神戸大学医学部附属病院 循環器内科 助教

【専門分野】
循環器内科・虚血性心疾患
心臓カテーテルインターベンション
経皮的大動脈弁置換術(TAVI)における心臓CT
【プロフィール】
2001年 和歌山県立医科大学医学部卒業
2001年 神戸大学医学部附属病院内科研修医
2002年 兵庫県立柏原病院(現 兵庫県立丹波医療センター)内科研修医/専攻医
2004年 市立加西病院循環器内科専攻医
2006年 神戸大学医学部附属病院循環器内科医員
2011年 兵庫県立柏原病院(現 兵庫県立丹波医療センター)内科医長
2014年11月 Cedars Sinai Medical Center研究員 (米国 ロサンゼルス)
2017年4月 神戸大学医学部附属病院冠動脈疾患治療部 特定助教
2019年9月 神戸大学医学部附属病院循環器内科 助教
2021年10月 神戸大学医学部附属病院循環器内科 助教(病棟医長)
【資格】
日本内科学会総合内科専門医
JMECC(日本内科学会認定内科救急・ICLS講習会)インストラクター
日本循環器病学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会 (CVIT) 認定医
日本経カテーテル心臓弁治療学会 (JTVT) 経カテーテル的大動脈弁置換術(SAPIEN)実施医/指導医
医学博士

 

Interviewer:小田 奈央 神戸大学医学部附属病院 循環器内科 医員

 

 

【学歴・職歴】
2019年3月 島根大学医学部医学科 卒業
2019年4月 製鉄記念広畑病院 初期研修医
2021年4月 神戸大学医学部附属病院循環器内科 後期研修医

 

循環器内科ってどんなところ?

 

 

循環器内科の診療について、教えて下さい。

循環器内科は、虚血性心疾患・心筋症・不整脈疾患・肺高血圧などを診療します。特に、神戸大学病院循環器内科では、他病院では手に負えない重症患者や、診断に苦慮するようなややこしい疾患も診療します。虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)のみならず、構造的心疾患(SHD: Structural heart disease)に対するカテーテル治療(TAVI・Amplatzer ASD/PFO occluder・WATCHMAN)や、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するカテーテル治療も行っています。近年、不整脈の領域である心房細動(AF)や心室頻拍(VT)に対するカテーテル心筋焼灼術の症例数が増加しています。
今後、心不全患者が増加することは、良く知られていますが、心不全患者さんの中でも、重症心不全に対する加療は大学病院の使命であり、埋め込み型補助人工心臓(VAD)の埋め込みおよびVAD装着した患者さんの診療も行います。心臓移植を目指している患者さんが該当することが多く、きめ細やかな管理・診療が要求されます。

循環器内科は救急疾患が多いでしょうか?

循環器内科は、緊急処置を要する患者さん(急性冠症候群・難治性心室性不整脈・重症肺高血圧など)を診療するため、緊急対応を要することは、他の内科診療科と比較しても、頻度は必然的に多くなりますし、speedyに対応・診療することを要求される場面もあります。忙しく大変なこともありますが、適切に対応することで、劇的に症状や状態が改善することも、しばしば経験するため、やりがいがある診療科と思いますし、誰も最初から、迅速な対応が出来るわけでもなく、教科書を前もって読んでいたから、上手く出来るものではないため、多くの症例を経験し、その中で、学び反省することで、自然と体にしみついてくるものだと思います。

循環器内科では、カテーテルなど被ばくする手技ばかり行うのですか?

循環器内科では、カテーテルなどの侵襲的処置は、血管造影室やハイブリッド手術室(手術台と心・血管X線撮影装置を組み合わせた手術室)で行うため、被爆を伴う手技です。しかし、循環器内科診療は、必ずしもそのような治療ばかりではなく、心臓CTや心臓MRI、心筋シンチなどの解析を行うことを業務の主としている先生方もおられますし、循環器内科の検査の中で経胸壁心臓超音波検査(心エコー)は、低侵襲な検査の代表だと思いますが、心エコーを主たる業務として行っている先生方もおられます。女性の先生方も最近、増えてきています。

研修医の先生や学生さんに対するメッセージをお願いします。

自分が研修医の時を思い起こすと、先輩の研修医の先生や専攻医の先生の診療する姿を見て、追いつきたいと思い、努力しました。何事も頑張り次第だと思います。医師免許を取得した頃に、一人前になるには、最低10年は必要と言われた記憶があります。10年かからずに循環器専門医や総合内科専門医の資格は取得可能ですが、医療はどの領域でも進歩するわけで、その知識を得るための努力は必要です。私自身、医師免許を取得し、20年経過しましたが、日々勉強です。
高齢者は、今後増加します。当然並存疾患を抱えた患者さんは増加してくることは予想できると思います。当科では、循環器疾患のみ診療が出来ればいいわけではなく、幅広い視野で患者を診療することを重要視し、病棟診療チームの先生方が研修医の先生方の指導にあたります。

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