病院紹介

救命救急の取り組み

歴史と現在

1992年に、多くの専門的な診療科から構成される大学病院にあって、当時はまだ少なかった複合的な疾患や多部位に渡る多発外傷などを受け入れる部門として救急部が設置されました。そして、1995年の阪神・淡路大震災で救急部が中心となって多くの被災者を受け入れ治療したことを契機として、本邦の最初の災害・救急医学研究の拠点として大学に教室(災害・救急医学講座、現在は災害・救急医学分野)、附属病院には救命救急科が設立されました。

以来、平時においては高度で最先端な救命救急医療を地域の人々や神戸大学病院で治療中の方々に提供しています。また、教育活動では重症救急患者への救命医療を中心に医学生及び研修医の指導を行い、研究活動では様々な重症病態の解明や新規治療の開発を行って多くの業績を積んでいます。さらに、災害医療においては、医療チームや調査団の海外派遣、国際被災地でのDMAT活動や救護チーム活動、派遣、院内災害訓練などを行っています。

救命救急の取り組み

新体制の構築と救命救急センター設置とECUの運用開始

1998年4月から救急部の医師部門を単独で担ってきた救命救急科は、2018年7月から総合診療を担う総合内科とともに勤務体系を組み、合同カンファレンスを行い、病棟も部分的に共通階にして、両科がひとつのチームとして救急・総合診療を展開する新しい診療体制を始めました。さらに、従来救急専門医だけで構成されていた救命救急科には外科系各診療科から医師が出向し、様々な専門性を持つ医師たちが多彩な疾患に対応し、手術も各科の協力を得つつも救命救急科が中心となって行っています。

同時に総合内科にも全内科から更に多くの医師が出向し、24時間体制で内科系救急患者に対応しています。これらの診療体系の改変により、病院全体がフロントラインとも言うべき救急・総合診療に関わるシステムとなりました。この体制をベースとして積年の課題であった救命救急センター設置が2019年7月に兵庫県から認可されました。更に、重症患者に特化した病床をER内に建築し、2020年7月からECU(Emergency Care Unit)として運用を開始しています。

病院前診療

ヘリコプターやDMATカーによる事故現場への医師、看護師の派遣により現場における医療を早期に開始して一人でも多くの命を助けるための活動を行っています。
また、災害や大規模事故発生時には、迅速に特別な訓練を受けた災害派遣医療チーム(DMAT)を災害現場等へ派遣し、消防機関等と連携した救命活動を実施し、国際的視野を持った救急医の育成を図っています。

メディカルコントロールとoff the job training

病院前救護におけるメディカルコントロール体制の充実強化に向けて救急救命士への助言指示体制の強化や再教育にも力を注いでいます。また、「off the job training」としてBLS、ALS(ICLS、JMEC)、JATEC、MCLS、ISLS等を当科医師や救急看護師が中心となって定期的に開催しながら、個々のスキルアップやチーム力向上に積極的に取り組んでいます。

救命救急センターの応需率

令和5年1月~令和5年12月:89.2%
(消防機関からの搬送受入れ要請件数3,231件うち受入件数 2,884件)