病院紹介

病院長挨拶

病院長 平田健一

神戸大学医学部附属病院の歴史は明治2(1869)年に設立された「神戸病院」に遡ります。設立に際しては当時の伊藤博文初代兵庫県知事のもと、「普く人民の疾病を救治」する目的で多くの寄付が募られ、洋風建築の病院が建設されたとのことです。その後、明治10(1887)年に「公立神戸病院」に改称され、本地域の医療の中核をなす病院として機能し続け、現在に至っています。2019年には、神戸港開港150周年(2017年)を追いかけるように当院も創立150周年を迎えており、地域の皆様のお力によって築かれ、支えていただき、そして発展してきたことを誇りに思いますとともに、地域医療における我々の責務を強く感じているところです。

基本理念として一番に「患者中心の医療の実践」を掲げています。患者さんが安心して診療を受けることのできる高度な医療安全・管理体制を確保することが、なによりも優先されるべきことを大前提として、病院全体の医療の質・安全管理システムを確立・運用しています。また、患者さんに満足していただける最良・最善の医療を提供していくこと、そして医療スタッフが生き甲斐をもって働けるような環境を創っていくこと、を重視しています。ご意見を頂戴しながら、地域の皆様に信頼される病院を目指し、職員一同、より一層努力してまいる所存です。

当院は1994年7月1日から医療法で定める特定機能病院に指定され、「高度な医療の提供」、「高度な医療技術の開発および評価」、「高度な医療に関する研修」、「医療の高度の安全を確保」を担ってまいりました。安全な医療の提供を前提としながら、医療提供機能,教育研修機能,研究開発機能の3つの使命を果たし、臨床医学の進歩と医療技術の向上に寄与し、医療を通じて社会に貢献してまいります。

2017年に設立された医学部附属病院国際がん医療・研究センター(ICCRC)は、がんに対する先進的治療の推進、医工連携による革新的医療機器の開発、国際医療機関との交流を目標に掲げ、その実現のために神戸医療産業都市内での連携を強化してまいりました。神戸大学が神戸市・産業界と行っている「神戸未来医療構想」は内閣府の地方大学・地域産業創生事業であり、その機能は加速しています。ICCRCは当院との連携により診療機能の効率化を図り、患者さんに寄り添うリサーチ・ホスピタルとしての機能強化を目指します。

2020年1月にWHOが新型コロナの世界的急拡大(パンデミック)に対し緊急事態宣言を行って3年以上経ち、2023年5月にようやくパンデミック収束が宣言され、わが国でも新型コロナは感染症法上の2類から5類に変更されました。今後も自然災害や感染症パンデミック等の予期せぬ事態が発生する可能性があり、その際の適切な医療体制を整備する一方で、特定機能病院としての機能を維持しつつ、患者の視点に立った安全で質の高いチーム医療を推進し、高難度で最先端の医療を安全に提供してまいりますので、今後も一層のご支援とご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

神戸大学医学部附属病院長黒田 良祐