神戸大学 医学部附属病院

  • 医学研究科
  • 附属病院
  • ホーム
  • センター概要
  • 組織紹介
  • 診療の特色
  • センターの取り組み
  • お知らせ

診療の特色

がんのリハビリテーション

がんと共存する時代に
がんによる死亡率は、診断・治療技術の向上などにより年々減少してきており、がんが不治の病であった時代から、がんと共存する時代に変化してきています。
二次的な障害の予防・運動機能の低下やADL障害の予防・改善を目的としたリハビリテーション
がん自体ががん患者さんに体力低下や機能障害を引き起こすことに加え、手術・化学療法・放射線療法などのがんに対する治療によっても合併症が生じます。それに伴い、疼痛、疲労、筋力低下、全身体力低下、移動・セルフケアなどの「日常生活動作(Activity of Daily Living: ADL)」障害などのがんの種類によらない一般的な問題、また、リンパ浮腫、末梢神経障害、軟部組織・骨切除術後などのがんの種類による特別な問題が生じます。このような問題に対して、二次的な障害を予防し、運動機能の低下やADL障害の予防・改善を目的としてリハビリテーションを行います。
体力の維持・改善のためのリハビリテーションが重要です
例えば、化学療法は、腎機能障害、心機能障害、間質性肺炎などの重篤な副作用と、嘔気・嘔吐、骨髄抑制、末梢神経障害などの高頻度の副作用を生じる恐れがあります。放射線療法は、急性反応(照射期間中・照射直後)として、放射線宿酔(嘔気、食欲不振、全身倦怠感など)、脳や気道などの浮腫、皮膚炎、口腔咽頭粘膜障害、消化管障害などの副作用を生じることがあり、晩期反応(通常照射後6ヶ月以降)として、脳壊死、脊髄障害、末梢神経障害、リンパ浮腫、骨障害(大腿骨頭壊死など)、口腔内乾燥症などの副作用を生じることがあります。このような副作用に、疼痛、睡眠障害、精神的要因も相まって、全身体力の低下や倦怠感を来すことがあり、さらに倦怠感は身体活動を制限し二次的な体力低下にも繋がります。
がん患者さんの身体活動の低下は、治療法選択、生命予後、ADL、生活の質(Quality of Life: QOL)にもかかわることから、体力の維持・改善のためのリハビリテーションが重要です。
がんのリハビリテーションの対象

がんのリハビリテーションの対象となるのは、以下のいずれかに該当する患者さんの中で、医師が個別にリハビリテーションが必要であると認めるがん患者さんです。

  • 入院中にがんの治療のための手術、骨髄抑制を来しうる化学療法、放射線治療若しくは造血幹細胞移植が行われる予定の患者又は行われた患者
  • 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者
当院におけるがんのリハビリテーションの取り組み

当院リハビリテーション部においては、各診療科から紹介された入院中のがん患者さんに対して、機能障害、ADL障害などの予防・改善を目的にリハビリテーションを実施しています。

当院でのがんのリハビリテーションの例は下記ボタンから詳細をご覧ください。

  1. ケース1 造血幹細胞移植・化学療法施行患者さんの例
  2. ケース2 食道がん患者さんの例
  3. ケース3 乳がん患者さんの例
  4. ケース4 頸部リンパ節郭清術後の患者さんの例
  5. ケース5 頭頸部がん患者さんの例
他部門との連携
院内のカンファレンスに参加し、患者さんの状況、治療やケアについて主治医、看護師、臨床心理士など他職種と情報交換を行いながら、リハビリテーション治療を行なっています。

転移性骨腫瘍カンファレンス

  • 医師、看護師、リハビリテーション・スタッフ、臨床心理士などの多職種で情報共有を行う
  • リハビリテーション科、整形外科、緩和支持治療科、放射線腫瘍科、腫瘍・血液内科など多診療科の連携
  • 転移性骨腫瘍の患者さんの治療方針、リハビリテーションの必要性や内容を検討する
  • 日常生活上やリハビリテーション実施時のリスク管理、安静度の設定、装具の必要性の検討などを行う

写真:転移性骨腫瘍カンファレンス