あいさつ

神戸大学病院に、てんかん治療に特化した
専門センターが開設されました。

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返し起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があります。患者数も100人に1人程度と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです。

適切な抗てんかん薬を服用することで、60~70%の患者さんでは発作は抑制され、通常の社会生活を支障なく送れると言われています。また、薬が効かない(薬剤抵抗性の)方には、脳外科手術やデバイス治療で発作を治療する選択肢もあります。

一方、てんかんの専門的な診療をしている医療機関の情報が少なく、患者さんが地域の専門的な医療に必ずしも結びついていない等の課題が指摘されていました。神戸大学医学部附属病院は、国の「てんかん地域診療連携体制整備事業」に基づき、兵庫県から「てんかん支援拠点病院」に指定されました。これを受けて、令和4年5月にてんかんセンターが開設されました。

当院では脳神経内科、脳神経外科、小児科、精神科神経科と診療科横断的にてんかん診療を行っています。兵庫県の「てんかん診療の最後の砦」として、初発の発作、診断に苦慮する患者さんから、薬剤調整や薬剤抵抗性でてんかん外科手術が望まれる患者さんまで幅広く対応します。てんかんに関する悩みや疑問、どこに相談すればよいのか分からない等お困りのことがありましたら、専門医が対応しておりますので、どうぞ本センターをご活用ください。

てんかんセンター長
松本 理器

てんかんセンター概略

全国のてんかん支援拠点病院

我が国のてんかん診療は精神科、小児科、脳神経内科、脳神経外科など複数の診療科が担っており、てんかんの専門診療を行う医療機関がプライマリケア医や二次医療機関から把握されず、情報提供・教育の体制が整備されない状況がありました。このような状況を打破するために、地域内の病診連携、診療科横断的な包括診療をめざし、平成27年からモデル事業、平成30年から本事業として、厚生労働省のてんかん地域診療連携体制整備事業が始まりました。各都道府県に1か所ずつ「てんかん支援拠点病院」(上図)を設置し、専門的な相談支援、管内の医療機関・自治体等や患者・家族との連携を図り、てんかん診療や相談支援等に携わる医師に対する助言・指導や地域における普及啓発等をはかることを目的としています。このような制度のもと、兵庫県でも令和4年5月1日より神戸大学医学部附属病院てんかんセンターが開設されました。また、てんかん地域診療連携体制整備事業において兵庫県のてんかん支援拠点病院の指定を受けました。

当センターでは、

  1. てんかん診断やてんかん外科術前評価の中核検査である長時間ビデオ脳波モニタリング検査(※1)の施行
  2. 最新の各種検査機器(※2)を駆使した包括的な診断と内科・外科治療(抗てんかん薬調整・てんかん外科手術)の実践
  3. 相談支援業務とてんかん患者と家族・医療従事者・関係機関職員に対する研修の実施

を通じて、世界水準のてんかん診療と患者支援を推進してまいります。
兵庫県の「てんかん診療の最後の砦」として、初発の発作、診断に苦慮する患者さんから、薬剤調整や薬剤抵抗性でてんかん外科手術が望まれる患者さんまで幅広く対応しますので、いつでもご活用いただければ幸いです。

  • 註※1 専用の個室でビデオと脳波を同時に長時間(24時間以上)記録し、発作間欠期のてんかん波や発作時の発作症状や脳波変化を記録する検査です。 的確なてんかんの診断や、薬剤抵抗性(難治)てんかんの外科手術の術前評価にかかせない中核検査です。
  • 註※2 外来脳波検査、長時間ビデオ脳波モニタリング検査、CT、3TMRI(含む術中MRI)、PET-MRI、SPECT、各種神経心理検査など、診断から術前評価まで世界水準の検査機器で対応します。

メンバー

てんかんセンター運営委員会メンバー

上段左から下段右の順に、西岡仁美特定言語聴覚士(医療技術部リハビリ・歯科部門)、山口宏特定助教(小児科)、的場健人助教(脳神経内科)、十河正弥助教(脳神経内科)、藤本陽介助教(脳神経外科)、毛利健太朗講師(精神科神経科)、永瀬裕朗特命教授(小児科)、松本理器教授(脳神経内科、センター長)、篠山隆司教授(脳神経外科、副センター長)、佐藤雅子看護師長(9北病棟)

脳神経内科 十河 尾谷 的場 松本 十河
脳神経外科 篠山、藤本 篠山
小児科 永瀬 徳元、老川 永瀬、山口
精神科神経科 岡﨑、大塚 毛利

脳神経内科: 長時間ビデオ脳波モニタリング検査、てんかん診療の相談支援・助言指導、内科治療

脳神経外科: 頭蓋内電極留置による焦点部位解析、てんかん外科手術 (てんかん焦点切除術や脳梁離断術、迷走神経刺激療法など)

小児科: 長時間ビデオ脳波モニタリング検査、遺伝子検査、内科治療

精神科神経科:てんかん患者の精神症状の評価・治療

外来受診の仕方

  • 当院のてんかん外来は完全予約制となっております。
  • かかりつけ医の先生に、紹介状を用意していただいてください。紹介予約申込書にご希望の診療科を明記のうえ、傷病名や備考の欄に「てんかん外来希望」と記載していただければ、地域医療連携室にて、ご希望の診療科のてんかん外来受診を調整いたします。