神戸大学 医学部附属病院

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Tumor Board

転移性骨腫瘍ボード(Bone Metastasis Board : BMB)

骨転移とは?

骨転移とは、その名の通り臓器や組織にあるがんが骨に転移することです。そのため、すべてのがん患者において起こりうる可能性があります。骨転移を起こしやすいがんは表1の通りです。また、原発巣を問わず骨転移は椎骨で多く、次いで腸骨、大腿骨、肋骨などで多いとされています。骨転移そのものは、他の臓器転移と異なり、生命を脅かすものではありませんが、痛み・骨折・麻痺を生じることで療養生活の質を大きく低下させてしまう可能性があります。がん治療によって命の危険から脱しても、骨転移による骨折や麻痺が起こり、ほとんど外出できなくなってしまったというのであれば、せっかくの治療効果を十分に実感することはできないだけではなく、治療途中であればがん治療の中断を考慮しなければならないこともあり得ます。

骨転移が発生するタイミングは様々ですが、比較的早期から発生するがんもあれば、がんが進行して肺や肝臓など内臓への転移も見られるようになってきてから骨転移が生じるがんもあります。

表1 各がん種の骨転移患者の割合
原発巣 患者の割合(%)
乳がん 21.6
肺がん 21.2
前立腺がん 7.6
腎がん 7.5
胃がん 6.8
子宮がん 6.6
肝臓がん 5.1
大腸がん 4.0
甲状腺がん 3.5
膀胱がん 1.7
食道がん 1.6
膵臓がん 1.4

骨転移の治療

骨転移の治療には、がんそのものを抑える抗がん剤や分子標的薬、抗ホルモン剤などによる薬物治療と放射線治療、骨転移から生じる痛みなどの症状のコントロールや骨折・麻痺の予防や改善を目的とした薬物治療や手術療法などが存在します。さらには、骨転移とは別の元々のがん治療も同時併行で行われるため、治療が多岐にわたり、複数の専門診療科の連携が必要となってきます。神戸大学医学部附属病院では、症状緩和を専門とする緩和支持治療科、薬物治療の専門である腫瘍・血液内科、骨関節の専門である整形外科、放射線治療の専門である放射線腫瘍科、リハビリテーションを専門とするリハビリテーション科が連携し、各臓器や組織のがん治療を担当する診療科と協力して骨転移患者の治療を行なっています。

神戸大学医学部附属病院BMB

がんの療養生活すべてにおいて、骨転移の痛み・骨折・麻痺を予防・緩和し、がん患者が活き活きと活動的に過ごせるように、また、十分ながん治療を受けることができるように、神戸大学医学部附属病院では『転移性骨腫瘍ボード(BMB)』という活動を行なっています。

具体的な活動としては、放射線腫瘍科、整形外科、緩和支持治療科、腫瘍・血液内科、リハビリテーション科、緩和ケアチーム、リハビリテーション部に所属する医師、看護師、理学療法士、臨床心理士の多職種にて、月に2~3回合同カンファレンスを開催し、骨転移に対する治療方針の相談(各治療の必要性と緊急性の判断、治療の優先順位の決定など)と骨転移患者の療養生活のサポート(症状緩和と日常生活を送るための機能と体力の維持、骨折・麻痺出現の危険性の把握と予防、安静度の決定など)を行なっています。さらに、診療活動から得られた貴重な知見を元に、各専門知識を結集して、骨転移のよりよい治療法の開発、骨転移患者の療養生活の充実を目指した臨床研究活動を行なっています。

  • BMBカンファレンスの様子

    BMBカンファレンスの様子

  • 神戸大学医学部附属病院BMBメンバー

    神戸大学医学部附属病院BMBメンバー