祝辞

神戸大学医学部附属病院長

杉村 和朗

放射線部の発展を祈念して

放射線部設立40周年、誠におめでとうございます。私も放射線部長として放射線部の運営に携わって参りましたし、病院長としては中央診療部の要として大変お世話になっている部門であります。私が医師になって35年ですので、放射線部は同世代と言えます。卒業した頃には既に一般撮影と透視、そしてアンギオと核医学、放射線治療といった現在と同じラインアップが出来上がっていました。ただし、内容は大きく異なっており、透視室にはまだ暗室透視が現役として残っていましたし、一般撮影には気脳写が実働していました。核医学室はアンギオ室に隣接しており、シンチスキャナがカタカタとノンビリした音を立てながらドットの画像を作っていました。全体にユッタリとした空気が流れていた事を,懐かしく思い出しています。
診断におけるCT, MRIをはじめとするコンピュータを用いた画像の進歩は、医療を根本的に変えました。画像診断は全ての診療科において、診断の中心となっています。放射線治療においては、IMRTをはじめとする高精度放射線治療の進歩により、手術と同等あるいはそれ以上の治療効果を上げる様になりました。IVRについては、様々な領域で手術に並んで独立した大きな役割を果たしています。放射線部で行われている医療は、まさに低侵襲医療の代表となっています。同世代である私も、この革命的な進歩を共有できた事は、大変幸せであったと改めて感じております。
ただし、本邦の大学では放射線部を含めた中央診療部は、サービス部門に位置づけられており、独自に収入を上げるシステムになっておりません。一方,機器の進歩によって,病院で最も多くの投資を必要とする部門です。お金として換算できないサービスを提供して、満足を得てもらわなければならない部門です。投資にまわせる資源は限られていますので,他の職員達が,放射線部に高額機器を導入して良かった、沢山人を雇って良かったと思ってくれる必要があります。医師、放射線技師,看護師、物理士、事務職員を始め、放射線部を構成するスタッフの協力と努力によって、放射線部がより理解され,これからも益々発展していく事を願ってお祝いの言葉とさせて頂きます。

 
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