2012年11月より放射線部の一角に3Dワークステーションを有する放射線部画像処理室(3Dラボ)を開設いたしました。
3Dラボの目的は、各診療科等から低侵襲医療・高度先進医療を行うために依頼があった3D画像処理・提供を行うことです。また3Dラボは、診療放射線技師だけではなく、各診療科の医師が直接3Dワークステーションを操作し、手術シミュレーションを行い、安全に高度先進医療を行えるようにしています。
3Dラボ専任の診療放射線技師が1名おり、平均20件/日の3D画像の作成を行っています。1時間以上かかる画像処理もありますが、他部門の診療放射線技師と協力することで、撮影日の就業時間内にほぼ全ての3D画像の作成を終えています。
3Dラボの業務は3D画像処理だけでなく、CT検査のサポートも行います。事前に検査内容をチェックし3D画像処理を行うためのプロトコルを指示をしたり、転送された画像の確認をし、臨床診断に必要な追加画像を作成することもあります。
また臨床だけでなく、3D画像処理を用いた教育や臨床研究も行っています。
2015年度にCanon社製3Dプリンタ『Project660』が導入され、稼働しています。3Dプリンタで作成された実物大臓器立体モデルは、患者説明や術前検討、手術練習・教育に有用であるという報告があります。
当院では、歯科口腔外科や形成外科等の診療科より、患者説明、手術シミュレーション、教育や手術練習のための資料や手術支援として、立体モデルの依頼があります。今後も診療科医と相談し、より安全に手術が行えるような立体モデル作成に努めていきます。
当院の3Dラボは、医師や医療スタッフが気軽にワークステーションを使用できるよう、開かれた環境づくりを提供しています。日々3Dラボ室には様々な診療科の医師が訪れ、臨床や研究のための画像処理を行っています。
3Dワークステーションは3Dラボだけではなく放射線部各部署に設置されており、3Dの件数や進捗状況がわかるソフトウェアも導入しています。診療放射線技師はどのような3Dを何件作成すべきで誰が作成しているか、どの部署にいても把握することが可能です。3Dラボに行く必要がなく自身の部署で3D画像作成することができるので、各部署の手の空いた技師は自身の部署で3D作成を手伝い、迅速な画像提供と同時に残業を減らす取り組みを行っています。
また当院は3D作成が可能な診療放射線技師が多数います。3D画像の教育も充実しており、各診療科の術前ルーチン3D作成画像はマニュアル化されていますので、3D作成はじめたての人でもやる気や興味さえあればすぐに始められます。
ワークステーションは日々進歩しており、研究・臨床・業務効率化のため当院では最新ワークステーションを導入しています。ザイオソフト株式会社から発売された次世代ワークステーション「Ziostation REVORAS」では単純撮影での肺動静脈分離やアブレーション術前の肺静脈抽出などが正確に早く簡便に行えるようになりました。また高精細CTに対応したワークステーションであるZiostation2“1K Premium”、キヤノン社製「Vitrea」、シーメンス社製「syngo via」、GE社製「Advanced Visualization」、富士フィルムメディカル社製「VINCENT」などが使用可能です。
当院では3Dラボ室に3D作成用ワークステーション端末を7台設置しています。
(他にも、放射線部全体で3D作成可能な端末が20台程度あります)
・3D作成用ワークステーション端末(ZIO Station2 Ver.2.4)
・3D作成用ワークステーション端末(Ziostation REVORAS)
・3D作成用ワークステーション端末(Ziostation2 1K Premium)
・3Dプリンタ(Project660)
診療放射線技師 1名
(画像等手術支援認定診療放射線技師 3名)