アイソトープ検査(核医学検査)は、放射性医薬品と呼ばれる微量のお薬を患者さんの体内に投与して検査を行います。放射性医薬品を患者さんの体内に投与することで目的とする臓器や機能、病気濃霧や活動性を検査します。また、放射性医薬品は治療にも使用されます。目的とする臓器や病変に集まった放射性医薬品から出てくる放射線を体外から計測して画像を作ります。
薬剤は目的とする臓器や疾患により多種にわたります。投与方法は注射や、カプセルの内服、ガスを吸入する方法があります。体内の薬剤は数時間、遅くても数日で体内からなくなるため安全です。また、被ばくの量は他の検査と比べても高いものではありません。
検査名 | 使用核種 | 投与量(MBq) | 被ばく線量(mSv) |
---|---|---|---|
骨シンチ | 99mTc | 740 | 3.63 |
骨髄シンチ | 111In | 74 | 19.24 |
ガリウムシンチ | 67Ga | 111 | 11.1 |
心筋負荷シンチ | 99mTc | 296+740 | 8.29 |
脳血流シンチ | 99mTc | 600 | 4.62 |
脳血流シンチ | 123I | 167 | 5.34 |
ドパミントランスポータ SPECT | 123I | 167 | 4.18 |
MIBIシンチ | 99mTc | 600 | 5 |
唾液腺シンチ | 99mTc | 185 | 2.41 |
肺換気・血流シンチ | 81mKr+99mTc | 185+296 | 3.265 |
肝胆道シンチ | 99mTc | 185 | 4.65 |
NETシンチ | 111In | 122 | 6.59 |
肝受容体シンチ | 99mTc | 185 | 2.28 |
腎動態シンチ | 99mTc | 222 | 1.56 |
副腎皮質シンチ | 131I | 18.5 | 33.3 |
副腎髄質シンチ | 123I | 111 | 1.44 |
腎静態シンチ | 99mTc | 185 | 1.63 |
消化管出血シンチ | 99mTc | 740 | 5.85 |
センチネルリンパ節 同定シンチ | 99mTc | 40 | 0.36 |
蛋白漏出シンチ | 99mTc | 740 | 5.85 |
心筋障害シンチ | 99mTc | 555 | 2.72 |
心交感神経シンチ | 123I | 111 | 1.44 |
心筋脂肪酸代謝シンチ | 123I | 111 | 1.78 |
*FDG PET | 18F | 210 | 3.52 |
当院ではSPECT装置を3台所有しています。CTが一体となったSPECT/CT装置が2台と心臓専用のSPECT装置があり、脳、心臓、肝臓などほぼ全ての臓器、器官を目的とする数多くの検査に対応しています。
検査によって、使用する薬剤、検査時間は異なりますので、詳しくはスタッフにお尋ねください。
SPECT-CT
心筋専用SPECT装置
FDG-PETではブドウ糖とよく似た構造の18F-FDGという薬剤を使用します。 多くの悪性腫瘍は正常な細胞と比べてブドウ糖をたくさん必要とします。そのため、ブドウ糖の代わりにFDGを取り込んでもらい、その状況をPET装置で撮像することで悪性腫瘍の位置や大きさが分かるだけでなく、病気の活動性や治療の効果を調べることができます。
PET-CT
PET-MRI
当院ではPET装置を2台所有し、うち1台はCTが一体となったPET/CT装置です。
PETとCTを重ね合わせた画像を作成することで、より詳細な臓器・器官の形態や位置情報を提供します。
もう1台はPETとMRIが一体となったPET/MRI装置で、世界的にも導入台数の少ない珍しい装置です。
PETとMRIを同時に撮像できるため、重ね合わせた画像の位置ずれが少なく、またMRIの優れたコントラストにより、診断能の高い画像を提供することができます。
PET-MRI
2014年より、アイソトープ室は低侵襲棟の地下1階へ移設しました。その際に、PET用薬剤の院内製造システムを設置し、現在ではサイクロトロン(PET検査で使用するポジトロン核種を作るための装置)やFDG自動合成装置により、18F-FDGを製造しています。
今後は、18F-FDG以外のPET用薬剤を製造し、心臓、脳などの働きを画像としてとらえ、病気の原因や病状を的確に診断できるよう、準備を進めております。
サイクロトロン入口
住友重機械工業株式会社社製 サイクロトロン
放射性医薬品は病気の診断だけでなく、治療にも使われています。
当院では現在、下記の治療を行っております。(治療の適応にはいくつかの条件があります。詳しくは主治医にご相談ください。)
・甲状腺がん(乳頭がん・濾胞がん)に対する放射性ヨード内用療法(ヨウ素-131)
・去勢抵抗性前立腺がん骨転移に対する治療(ラジウム-223)
・神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体放射性核種療法(ルテチウム-177)
アイソトープ治療病室入口
アイソトープ治療病室
当院では以下の装置を設置しています
■SPECT
・SEIMENS社製:Symbia Pro.specta X3
・GE社製:OptimaNM/CT640
・日本バイオセンサーズ社製:D-SPECT
■PET
・GE社製:Discovery MI PET/CT
・GE社製:SIGNA PET/MR
■サイクロトロン
・HM12S:住友重機械工業株式会社
どれも最新のものが導入されているのはもちろんですが、珍しい装置を保有しています。
PET-MRI装置も台数の少ない珍しい装置ですが、当院のGE社製Discovery MI30というPET-CTは日本で1台しかありません。PET検出器の幅(Z軸方向)がGEのPET-CT装置で最も長い30cmとなっており、検査時間の短縮につながっています。
また、放射線内用療法の件数が多く、2023年には神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体放射性核種療法(ルテチウム-177)を開始、2024年には新たに特別措置病室も設置されました。新しく発売されたPET製剤も積極的に導入しており、2024年にはアミロイドPET検査や、フルシクロビンPET検査が始まりました。今後、他製剤も導入予定です。
診療放射線技師 8名
(うち核医学専門技師 3名)
看護師 1名
核医学専門医 6名
PET核医学認定医 6名