放射線治療は、がん治療三本柱の一つとして、広く用いられています。
手術と同じ「局所療法」ですが、患部の機能、形態を温存でき、幅広い病期に適応できる優れたがんの治療法です。
欧米では、がん患者の約60%が放射線治療を選択しています。
治療後も「生活の質 Quality of Life : QOL」の低下を招くことのない放射線治療は、がん治療の柱として大いに期待されています。
放射線治療は手術と同じ「局所療法」ですが、メスを入れることはありません。
放射線が細胞にダメージを与える作用を利用した治療法です。
治療の回数(日数)は数回(日)から、30回(日)以上になることもあります。
技術の進歩により、治療期間も短く精度の高い放射線の治療が可能になってきています。
体の外から病変部に放射線を照射する治療です。
最新のVarian社製Ture BeamとTure Beam STxを使用することにより、高精度な放射線治療が可能となりました。一般的な照射のほかに患部の状態により、画像誘導放射線治療(IGRT)や呼吸同期照射を行う場合もあります。また、より集中的に照射を行う強度変調放射線治療(IMRT)、高精度定位照射(SRS、SRT)、全身照射(TBI)にも対応しています。
192Ir線源を用い、体の内側から放射線を照射する治療です。治療室内にはCanon社製 X線CT Alixionが設置されています。CTやMRI画像を使用して計画を行い治療します。主に婦人科系腫瘍の治療に用いられます。
前立腺がん永久刺入治療125Iシード線源を用い、前立腺に直接線源を埋め込む治療法です。
多職種連携により、当院泌尿器科、放射線腫瘍科、放射線部が合同で治療を行います。比較的早期の前立腺がんの治療法で、入院期間は約3日間になります。短期間の入院で可能な治療です。
当院では、放射線治療計画専用CTとしてSiemens社製SOMATOM go.Open Proを使用しています。
必要に応じて、治療時の体動を抑制するため、部位に応じた固定具(例:頭部・頭頸部用マスク、体幹固定具など)を作成し、装着したまま撮影を行います。
固定具は、患者さん一人ひとりの治療内容や体格に応じてカスタマイズし、最適な体位保持を図っています。
主にCT画像を用いて、病変部に対して三次元的に放射線を照射するための計画を作成します。
CT画像のみならずMRIやPETなどの画像と合わせてより正確に計画することができます。
安全に質の高い放射線治療を行うために、診療放射線技師や医学物理士など放射線治療に関わるスタッフで実施します。とても重要な業務です。
放射線治療を開始する前に、正確な放射線が出力されているか、治療計画通りの放射線治療が出来ているか、様々な項目について検討を行い安全性を検討していきます。
医師・コメディカル統合的人材育成拠点形成
エキスパート・コメディカル育成プログラム
がん治療エキスパート放射線技師育成コース
放射線治療における臨床や精度管理・線量測定法を学び、放射線療法に関わる診療放射線技師のエキスパート・コメディカルを育成する4週間のプログラムを実施しています。
詳細はhttp://www.med.kobe-u.ac.jp/comed/index.html
放射線治療には体の外部から照射する外部照射、および体の内部から照射する内部照射があり当院ではその双方の治療を行っています。
外部照射では全身のありとあらゆる部位の治療をTrue Beam, True Beam STx (Varian社)の2台のリニアック装置によりX線と電子線を用いて行っています。
当院では5割以上の症例をIMRT(強度変調放射線治療)と呼ばれる高精度な方法で治療しています。
その他にもSRT (定位放射線治療)やSRS (定位手術的照射)、TBI (全身照射)、息止め照射や呼吸同期照射等の特殊照射にも対応しています。
Ture Beam STxでは世界最小幅2.5 mm厚の多重絞り (MLC)に加え、0.1 mmもしくは0.1 °単位で6軸補正が可能な寝台を備えているため、小さな病変に対しても精密な治療を短時間で実現可能です。
内部照射では125Iシード線源を用いた前立腺がんに対する治療および婦人科骨盤領域の治療にRemote After Loading System(RALS)を導入しています。RALS治療では、通常の腔内照射に加え、複雑な形状を有する病変にも対応可能な組織内照射を実施しています。また、アプリケーター挿入後にMRI撮像を実施し、その画像に基づいて治療計画を作成するMRIガイド下RALS治療にも取り組んでいます。MRI技師と連携することで、治療室からMRI撮像、治療室への帰室までタイムロスなく画像取得を行うことが可能です。MRIはCTと比較して腫瘍や危険臓器を明瞭に描出できるため、より正確な輪郭抽出、線量の最適化、および線量評価が可能となります。
外部照射においても内部照射においても必要に応じてMRI撮影を行い、より正確な治療を実現しています。
新しい治療計画用CT装置の導入により、短い撮影時間による患者さんの負担軽減、最新機能におけるワークフローの改善、そして精度の高い治療計画用画像の取得が可能となりました。 従来の治療計画CTは線量計算にCT値ー電子密度変換テーブルを使用するため撮影管電圧を一定にする必要がありましたが、新しく導入された「Direct Density」により、撮影時の管電圧がどのように選択されても、一定のCT値ー電子密度変換テーブルに乗せることができます。そのため、患者さんの体型、腫瘍、部位など目的に応じて撮影管電圧を変えることのできる「CARE kV」を使用した撮影が可能となりました。さらに金属によるアーチファクトを低減するテクノロジー「iMAR」を新たに活用し、治療計画に適した画像取得が可能になっています。
放射線治療では、放射線腫瘍医・放射線技師・医学物理士・看護師といった高い専門性を持った多職種が連携し、正確で安全な放射線治療を行っています。
■外部照射治療装置
・Varian社製 Ture Beam
・Varian社製 Ture Beam STx
■CT装置
・Canon社製 X線CT Alexion
・Canon社製 X線CT Aquilion LB
■密封線源治療装置
・Nucletron社製 micro SELECTRON HDR-V3
診療放射線技師 9名
(うち放射線治療専門放射線技師 3名)
放射線腫瘍科医師 9名
(うち放射線治療専門医 8名)
医学物理士 5名
放射線治療品質管理士 3名
大学院生(物理領域) 4名
看護師 8名
(うち がん放射線療法看護認定看護師 1名)