神戸大学大学院医学研究科では、村上教授のご尽力もあり、2019年度から神戸大学内外問わず放射線技師も医学研究科を受験出来るようになりました。受験審査が必要であることや、医師と同じ試験を受ける必要はありますが、神戸大学医学部附属病院で働いている利点を生かし、勉強してチャレンジすることにしました。日頃の臨床研究を広い視野で進めるため、他職種との連携を深めるため、臨床教育の質を高めるため、自身の将来の選択肢を広げるためなど、志望理由は多岐にわたります。まさか合格するとは思わなかったので、びっくり半分、不安半分といったところです。
現在、村上教授の指導を受けながら、腹部関係の研究に携わっています。主にMRIを用いて、上腹部で新しい指標を提案できるような研究や、装置メーカーに搭載された新術の評価、装置メーカー共同研究のお手伝いなど、主に臨床に還元できるような研究をしています。また、先進医用画像診断学部門は、河野准教授をはじめ、AI (Artificial intelligence)の研究を積極的に行なっており、他の大学院生や医師の研究を手伝うことも今後出てくるのではないかと思っています。
講義は対面授業もありますが、主にZOOM用いたwebによって行われます。レポート提出等はGoogleのclassroomが使われています。授業を受けていても、正直ちんぷんかんぷんな授業(全て英語での講義とか。ダメな生徒ですいません)もありますが、何かしら自分なりに新しい発見があります。また、放射線技師として病院で働いていると、全く関わらないような基礎研究の授業なども聞けて新鮮です。基本的には、授業も研究も日勤勤務後にします。必修の授業では夜勤等の勤務を調整する必要もあります。日勤後の授業は地獄(夢)を見るときもありますが、頑張るしかありません。単位取得、論文作成はどこの大学院でもあるかと思いますが、日頃一緒に働いている先生に気兼ねなく相談できるのはとても良い環境だと思います。 (島田)
神戸大学大学院医学研究科では、2023年度より「医療創生工学専攻」という新たな博士課程専攻が開設されました(学部課程は2025年度より開始)。私は他施設から中途で入職した放射線技師であり、修士課程は他大学にて社会人院生として修了していました。そのため、「社会人の大学院進学は修士までで十分かもしれない」「博士に挑戦する機会はなかなか無い」と感じていた時期もありました。
そんな中で、本専攻が新設され、後期課程からの入学が可能であること、そして自身の興味を引く内容であったことから、半ば勢いで受験しました。現在は本専攻の後期課程に在籍し、社会人大学院生として日々研究に励んでいます。
修士課程では、新生児を対象としたfMRIの臨床研究に携わりましたが、博士課程では画像診断における深層学習の応用をテーマにしています(企業との共同研究のため詳細は非開示です)。修士では「自分の興味を深める」ことが中心でしたが、博士では「誰かにとって意味のある成果を届ける」ことを意識するようになり、研究への向き合い方が変化してきたことを実感しています。医療創生工学専攻が掲げる「工学と医療の接点を創出する」という姿勢にも共感しながら、日々取り組んでいます。
職員としての視点から申し上げると、現在、神戸大学病院 放射線部には神戸大学に限らず他大学の大学院に在籍する社会人学生も多く、放射線技師として勤務しながら学び続けている仲間が複数います。医師や教員との距離も近く、専門性の異なる人々と関わりながらそれぞれのスタイルで研究を進められる点は、職場として非常に恵まれていると感じます。
また近年では、新入職者における大学院卒の割合が高まりつつあるとも聞きます。そうした中で、学位取得のタイミングや方法に悩む学生も少なくありません。神戸大学病院には、就職と進学のいずれかを選ぶのではなく、両立という選択肢を現実的に描ける環境があると感じており、進学や就職のタイミングに迷った経験のある自分だからこそ、同じような立場の方に少しでも参考になればと思います。(塚本)